
一般に忍者といって連想されるものは、呪文を唱えて煙を巻散らしながら、どろんと消えたり、数十メートルもの高さのある塀を飛び越えたり といったものだが、本当にそんなことが、できたわけではない。
では、実際どんな忍術が使われていたのだろう。すこしあげてみると以下のようである。
陰中陽の術 犬や猫の鳴き声をだし、敵をごまかす。あるいは、壁の内側にいても、
壁外で声がするように聞かせ、そちらに注意をそらせる。
狸退きの術
敵に襲われているとき、あわてずにどっしりと落ち着いた態度で、「敵は向こうへ逃げたぞ!」と言い、自分はそのまま横道にそれて
うまく逃げる。
鶉隠(うずらがくれ) 敵に発見されそうになったら、うつぶせになって息を殺している。
こうすると、とくに夜間では闇に紛れてわからなくなる。
と、まあ、おそろしく幼稚な方法が、どうどうと忍術としてまかり通っていたのだ。もちろん、呪文を唱えて印を結ぶ事もあったが、これは九字護身法といって、精神を落ち着かせるためのものであり、消えたりはできなかった。
つまり、忍術はそのものが、かなり幼稚であったため、どんな逆境にあっても屈することのない、強い精神力が必要だったのだ。
結果、彼らの健康法だが、強い精神力を備えれば、自然に肉体のほうも、それにともない強くなるというところだろう。