「戦国の時代へ・・・」第12話 湘南B作先生作

車が霧に迷い崖から転落するという、きっかけにより現代から永録元年1558年)織田信長が今川義元を破る、桶狭間の戦いの2年前の世界へタイプスリップしてしまった中嶋太郎達一行(本間利和、沖芳子、望月美貴)、藤吉郎(のちの豊臣秀吉)は、偶然何かの導きか織田信長と会うことができ、中嶋太郎、本間利和、沖芳子、望月美貴の4人は客人として、藤吉郎は草履とりとして信長に召し抱えられることになった。
その後藤吉郎はねねとの祝言をあげ侍大将に出世し秀吉の名を許され、芳子も馬の世話、美貴は洋服屋を相変わらず行っていた。 また、信長の本格的な美濃攻めのための出城小牧山に私達も移っていた。

そんな折、秀吉は墨俣築城を命じらた。
その主命を秀吉は達成し墨俣築城を完成させた。
私と利和は、墨俣城を見に行きたいというねねの意見により、墨俣城に向った。
その途中私達は敵斎藤家の軍勢に覆われ、私は肩に痛みが走り意識が遠のいていった。

私が意識を取り戻すと、そこには利和を始めとして芳子や美貴の顔も揃っていた。

「チュウリン、大丈夫。」
初め利和が私の意識が戻ったことに気付いて声をかけた。
「うん、だいじょうぶ。ここは?」
私が聞くと、
「さるの城、墨俣だよ。」
利和が答えた。
「墨俣!?」
「そうだよ、斎藤の軍勢に襲われて危なかったところをまたもや、パパが助けてくれたんだよ。」
利和が言うと、
「パパにまた助けてもらったのか?パパは?」
「もうどっかに行ちゃった。」
「芳子ちゃんや美貴ちゃんは。」
「中嶋君が怪我したって聞いたから慌てて小牧山から着たのよ。」
 美貴が答えた。
「たいした怪我じゃなくてよかったわ。」
 美貴は続けて言った。
「私らは、信長様の本隊と一緒に来たから安心やで。」
芳子も言った。
そこで、信長が入って来た。
「おう、気がついたか。たいした怪我じゃなくてよかった。」

 信長の機嫌は良かった。
「さるも、たいしたことができるようになった。
この墨俣築城で美濃攻略は大きく前進じゃ。」
信長が言うと、
「信ちゃん、なんでそんなに美濃攻略にこだわるの。
美濃攻略が難しかったら、伊勢の方とかまだ攻略するところはあるのに。」
利和は聞いた。
「わしは、亡きおやじ殿から美濃の譲渡状をいただいているからのう。
それを受け取ろうとしているだけじゃ。」
信長が言うと、
「おやじ殿って?」
利和は疑問をもって聞いた。
「斎藤道三のことやで。」
芳子が横で言った。
「あの、まむしのことか。」
利和が言うと、
「本間君、斎藤道三知ってたの?」
今度は美貴が言った。
「噂で聞いただけ。」
利和は答えた。
「そうじゃ、この墨俣の城はさるに預けて、わしは一度小牧山に帰えるが、ここは最前線だ。
太郎殿も負傷を負っていることだし、一緒に帰らんか。」
信長は聞いた。
私は負傷を負っているとはいえ、動けないような状態ではなかったので信長の話を承諾し小牧山に戻った。

小牧山に戻ると私の傷は順調に回復していった。
秀吉も墨俣の城を再三にわたる斎藤軍の攻撃から守り通していた。
また、斎藤家の重臣であり美濃三人衆と呼ばれた者たちの調略も成功した。
その調略の際には利和もたまに同伴していた。

そして、ついに信長は稲葉山城の総攻撃の命令を発した。
秀吉たちの小隊が小牧山城に侵入し、城の中を撹乱し、ひょうたんの合図により信長の本隊が攻め込むという信長の作戦は成功し、難攻不落と呼ばれた稲葉山城は落城した。

城が落城したのが分かると、私たちも稲葉山に向った。
稲葉山城につき、私たちは戦勝の祝いを言いにすぐに信長のところに行った。

「よく来たな。
おぬしたちにちょうど話したいことがあったんだ。」
予想通り信長の機嫌は良かった。
「おやじ殿の譲渡状にあるとおりわしはこの美濃を手に入れた。
それを境にこの城の名を岐阜城と改めようと思う。」
「ついに天下統一に動きだすんやね。」
芳子が言った。
「よく分かったな。
ここを出発点にして天下を統一に乗り出すつもりじゃ。」
信長が言うと、
「ついに、天下布武か。」
さらに芳子が言った。
「天下布武、うん良い言葉じゃ。
これよりこの天下布武をわしの旗印にするぞ。
しかし、これから先、中のものにも外の者にも厳しくなれねばならぬ。
そうしなければ、天下布武は成し遂げられぬわ。
周りはわしを鬼と呼ぶかも知れぬ。
おまえたちにも厳しくあたるかも知れぬ。
しかし、この国を統一し他の国に負けぬようにするには仕方ないのじゃ。」
「分かっています。」
私は答えた。
「おいらはずっと信ちゃんの味方だから。」
利和も言った。
「私も世界一の馬を育てるようにがんばるわ。」
芳子が言った。
「私も世界一の洋服屋作らなきゃ。」
美貴も言った。
美貴ちゃん、世界一の洋服屋は天下布武には関係ないやろう。」
芳子が突っ込んだ。
天下布武には経済力はかかせない。
「また、この国に新しい風を吹き込む意味でも、 美貴の洋服屋には期待しているぞ。」
信長はいい、私たちの間には笑いがもれた。

しかし、信長が言うとおり、美濃を落としたといえ武田に上杉、毛利に北条、一向宗まだまだ敵は多く、これからますます厳しい戦が続いていくのであった。



メール 湘南B作先生にファンレターをだそう!!